今日は学校が終わって新しい本を買った
新品の本を買うというのはとてもすてきなことだ。
かどのピン、とした傷みのない紙に生命力を感じる。
帰宅ラッシュで混んでいる電車のなかはエアコンの冷たい風が吹いて、べたついた汗をあっちからこっちから乾かしてくれた。
電車は大きな駅に着き、下車する人の流れに邪魔にならぬ様に体を動かすと夕方の街の色がUVカットのガラスの色と混ざって紫色になっているのがみえた。
本を読むことはいいことだと言われているけど、この風景を見逃してしまうのならプラスマイナス0なんではないかなとも思う。
また本を読みだすと夕陽がまぶたを指してきた。顔を上げてみると女性専用車両のシールでちょうどすっぽり夕日は隠れていたので、一歩左にずれてみる。小さな赤ーい球がぎらっと目の前にまとわりついた。
いい本や文章、ことばに触れるとすてきなことをいつもの3倍くらいすてきに感じられる様になる。
今日特にそう感じたのは山崎ナオコーラの太陽がもったいないというエッセイを読んだからだと思う。
おばあちゃんからメールが来ていた。
この前送ったフランスからのハガキが届いたと、初めてフランスから手紙をもらったと喜んでくれたみたいだった。
自分が遠くに行き、ハガキに切手をはってポストに入れるだけでこんなに喜んでくれる人がいるなら手紙や絵手紙をたくさん出そうと思った。
この頃いろいろなものから考えをまっすぐにされている気がして案外気持ちがいい。
そんなのあなたの考えだ、と斜に構えていてもそれをやさしく受け取ってやさしく噛み砕いていけば じんわりと自分の身体に馴染んでいくことも多い。
自分のことをそれと対になるもの、自分以外の全てに教わることができるんだとわかって少し安心できた。