高校からそう遠くない場所で撮影のバイトがあった。
運動会は盛り上がっていてとてもたのしかった。
土曜日と日曜日、毎週のようにそこへ行きライブをしたり見たり誰かに会いに行った。
帰りのバスはそのライブハウスや、高校の時の通学路を通り過ぎていく。
自分はバンドでうまくいく底のない自信があったし有名な会社の人から名刺をもらったこともあった。これなんだなって思ってた。
今はその時と違うことをしているし、その時には知らない曲をきいている。
何年か前の通学路をバスが飛ばしていく。もうここには戻りたくない
戻りたくないというかもうここには二度と来たくない。
今のまま、今のままでいさせてほしい
今いる人と一緒にいたい今に身を置きたい。
ここの道路でタヌキが死んでたとか駅前のブックオフで読みきれないほど本を買ったりあそこのくら寿司に行きまくったとかあのカラオケ屋さんで意味もなく朝まで遊んだり、放課後にドーナッツを食べたりこのマンションには先輩が住んでいたり帰りに焼き鳥食べたり駅の下の肉屋でバイトしてたり
思い出の固まった街なんて嫌いだ
悲しくも嬉しくもない感情って死んだような気分になる
エモいだなんてクソ喰らえだ
小説の中みたいに薄ベージュの紙の束で全てが終わればいい
いいことも悪いことも両方あって、読み返せば両方をもう一度やり直せる
昔通ったところとは違うところにいたい。
もっと遠いところに身を置いていたい。
これだけ文字を並べてたけど、ようは今が好きってこと。
リセットしたい