読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

blog

むらたえりこです。

昨日のこと

 

 

バイトに出かけた。

15時46分。

いつもより遅い時間に出てしまったような気がして、携帯で電車の時間を調べる。

すると、画面には遅延の文字。

詳細を触ってみると「15:35 柴崎からつつじヶ丘で人身事故」と書いてあった。

 

そんなタイムリーに家の近くで人身事故が起こるわけなんてないと思いつつ駅に向かうと、踏切の音がずーっと鳴り止まない。

どうしようと言う表情を浮かべたおばあちゃんと話す駅員さん、見たことない制服の小学生があっちに行ったりこっちに行ったりして少々パニック状態だった。

普段はびっくりするほど穏やかな駅なので、規則正しく響く踏切のカンカンカンカンという音につれて増えていく人がいつもと違う雰囲気を持っていた。

 

開かない踏切の前に行って恐る恐るつつじヶ丘の方を見てみる。

よかった、事故はもう少し先で起きたみたいで私の目には見えなかった。

運転見込みは約1時間後。

うちの駅の近くにはかるーくお茶をするには勿体無い喫茶店やカフェしかなかったのでぼうっとしていた。

 

するとその見たことのない制服の小学生の女の子3人がつつじヶ丘まではどう行ったらいいかと興奮気味に駅員さんに聞いていた。

黒い線のたくさん書いてある細い地図をもらって「まっすぐ行って、右に行くんだって!」とずんずん歩きだした。

私は少し心配になった。

私があれくらいの歳の時、地図なんか読めなかったはずだったから。

「つつじヶ丘まで行くの?」

「そう」

「じゃあ一緒に行こうか」

「うん」

 

それからどこに帰るかとかを喋りながらまっすぐ歩いた。

みんなは三年生らしい。

なんで電車が止まってるか聞かれた。

「誰かがホームから落っこちちゃって電車にぶつかっちゃったみたい。」

「えー!?どうしたのかな!?無事だといいね」

 

 

わたしはハッとした。

高校や専門に行っていた時人身事故があると、クッソなんて思っていたけど、電車が遅れるだけじゃなくて誰か人が死んでしまったと言うことに気がついた。

クソなんて思うもんじゃなかった。

「無事だといいね」と言った小学生の女の子をしばらくじーっと見つめてしまった。

 

すると、別の子が

「死んじゃったりするのかな?もしそうだったら宗教の時間に言えるかもしれない!」

「宗教の時間?授業で宗教のことやるの?」

「そうだよ!(…〜ペラペラ)」

と、興味がなかったみたいで3人で何か喋り出してしまった。

「ここがくら寿司だから、あっちに曲がればいいんだね!」

TOYOTAがあった!あ!スクールバスだ!」

と上手に地図も読んでいた。

すごいなあと感心したけどなんだかんだ言ってわたしもキリスト教の幼稚園に行っていた。

 

ご飯を食べる前にはお祈りをして、年長さんの劇はイエス様が生まれる時の話をやった。わたしは本当は羊飼いがよかったけど男の子だけだと先生に言われたのでその次にかっこいいと思っていたナレーターをやった。

けれど、今でもマリアや天使が歌っていた歌は覚えているし、ご飯の前のお祈りの歌も覚えている。

多分、聖書もまだ家のどこかにあるけど一度も読んだことはないし、お祈りの意味なんてさっぱりわかっていなかった。

 

写真をやっていく時死生観みたいなものを勉強したり、考えてみこともあるけど幼稚園の時のことなんて何ひとつそこには絡まってない。

 

自分の体で21年間生きてきて、死ぬことなんかどうでもいい、人間としてナチュラルに力強く生きようというなーんてことない若さに溢れた死生観がわたしにはくっついてきた。

 

だけど今でも悪いことをしたり、そういうことを見て見ぬ振りをするとどこかで神様が見ていると思う。神様は信じてないけどそういう時に万物の母に見守られているような気分になる。

 

そんなことを考えていたらひとり女の子のお母さんと妹が走ってこちらにやってきた。

お母さんは頭を下げてありがとうございますと言った。3人をまとめて連れて行くと言うのでお願いすると、

「みんなありがとう言ったの?ほら、みんなでありがとうございましたって言って」

「ありがとうございました!!!」

と3人声をそろえた。

 

こんな風にお礼をされることってない。

きらきら軽く透き通ったありがとうに手を振って帰った。

わたしは何度も何度も振り返ってしまった。

 

 

それからひとりになって線路沿いを歩いてくるとつつじヶ丘の駅が見えてきた。駅を出てすぐのところで止まっている電車も見えた。

 

その電車を見る人も線路に沿ってたくさんいた。

電車のそばには黒いビニール袋がいくつか置いてあった。

少しこわくなって道をそれて商店街に逃げた。別に逃げちゃいないけど。

 

ビニール袋、ビニール袋、ビニール袋、ビニール袋…と頭の中が黒いビニール袋だらけになった。

電車も動いていないし、気分も落ち着かないのでもうひとつ先の駅まで歩くことにした。

駅はたくさんの学生で溢れていてすこし窮屈だっけどちょうど電車も動いている。

わたしは1時間遅れてバイト先に向かい、いつもと同じようにだらだらと必要以上に呼び止める気の使えないお客さんをあしらうのであった。

 

今日になってみていつも通りちゃんと電車が動いていることになんだかんだ違和感を感じる。それと同時に安心感も。よかった。

 

 

最近は知らない誰かに何かをすることが多い。

拾った定期を本人へ届けに行ったりしたし。

 

そのことを今の家を契約した不動産屋のおっちゃんに話したら、

「こんな言い方はあれかもしれないけど、これから人に優しくされるかもな。」

と言われた。うれしかった。

だけどそんなことより、わたしはもっと人に優しくしたい。

 

そこからはじまるなにかを期待したいし、大事にしてみたい。