新橋から銀座線に乗るアルバイトの帰り道。
少しだけくたびれた体を座らせて座らせて、携帯をいじる。
ふと目線を上げてみると視界がクリアーでハッとする。
電車でビールを飲んでいるお兄さんを見て、前仲良くしてくれたバイトのお兄さんのことを思い出す。
よく駅で会い、それから途中まで一緒に帰っていた。
彼はだいたいいつもビールを持っていて、350mlの時もあったし、ロング缶の時もあった。
仕事もスマートでたのしくてやさしいお兄さんだった。
今までいろんな人と銀座線に乗り、同じ道を帰った。
同じお店のお姉さんとか、同じお店の同い年の男の子(後で口を聞いてくれなくなった)、一悶着あった男の子もそうだ。
なんだか、そんなことを思い出して、懐かしくなんだかさっぱりと爽やかな気持ちになった。
思い出とか思い入れというのは、そのひとつひとつがしっとりと層になって、ふんわりと重なっていくものなのだと思った。
そのふわふわのミルクレープの先っちょにフォークをあてて、ゆっくりと力を加えて行く。
フォークが一層一層生地とクリームの間を通過して行く感触が体に伝わってきて、わたしの心はちいさく震える。
気持ちが良くて。
小さい三角形をきりとって口に入れる。
手間をかけて重なっていった思い出の味がする。
うーん、おいしい。
ミルクレープで思い出したけど、同居人のはなちゃんはミルクレープの層を一枚一枚はがして食べるそうな。
…それって焼き鳥串から外して食べる人と一緒じゃない…?
アハハ!
おもしろいね。