朝起きたら洗ってあった洗濯物を外に干す。
鳥が低く飛んでいるからきっと雨が降る。
家を出る前に中にいれよう。
髪を乾かして、ニベアを顔に塗って。
服の山からジーパンとベージュのコットンシャツを引っ張り、サッと袖を通す。
それに深いターコイズのスプリングコートを羽織る。
オシャレに決まったんだけど、大方、服がシワシワなので振り出しに戻るって感じ。
洗濯物を取り込んで、家を出る。
ふと思い立って近所の川に行く。
春の匂いは雑多だ。ぐちゃぐちゃしている。
花の匂いも、葉が芽吹き始めた匂いも、動物たちが目覚めた匂いも全部が漂ってくる。
これまた近所のパン屋さんで買ったシュガードーナッツを食べながら川沿いを歩いていると、カワセミがいるらしくおじちゃんが三人くらいたまってた。
わたしもそこでカワセミを見ていると、カワセミは魚を咥えてゴックンゴックンと飲み込んだ。
おじちゃんが
「あー二匹目だ。二匹も飲んだ」
と言っていた。
二匹目か〜なんて独り言を言ってたら別のおじちゃんが
「そう、あれで二匹目。お姉ちゃん口の周りお砂糖いっぱいついてるよ。」
「アハハ、すいません、ありがとうございます。」
カワセミは時々ゲップしたみたいに見える動きをしてた。
「ゲプッ」って。
それから川沿いを駅の方に向かって歩くと八重桜がぶりっぶりに咲いていた。
ぶりっ子みたいに可愛く咲いているのに全然いやらしくないところが大好きだ。
あの普通の薄ピンクの桜、染井吉野みたいなのはもう葉桜になっていて、あの見っとも無い感じがなんとも小気味良い。ざまあみろなーんて思ってるんじゃないわよ、その見っとも無い中途半端な色もすてきよって、わたしは言いたいの。
しかし、春だと浮かれていると絶対に足元をすくわれるか、ありえない方向からビンタを喰らうのである。
相手がどういう気持ちで、思いで声をかけて来るかなんとなく予想くらいつく。得意分野だ。
何が言いたいかというととにかく怒っていると言いたい。
久しぶりに腹が立っている。いや、立っていた。
腹って立った時がどうとかじゃなくて、たったあとどういう行動をとるかだなあと思う。
わたしは今約束を破りたいし、駒を動かしたくない。
春は欲がスピード飛ばしたがってるけど、そうはいかないぞ。どうすればいいかくらいちゃんと知ってるんだからな。
眠気だけはなかなか手強いけどね。
結末は一番sexの気持ちいい人と結婚しましたっていうギャグなラブコメテイストで頼むよ。