あたたかい店内と自分がここにいるということ、横には友達がいてもっとゆっくり向かい合って、体の力もだらりと抜いて、頬杖をついて喋りたいと思う。
眠気がコーヒーの香りとふわふわ漂っていて、目の前の席のカップルは手を触り合っている。しっとりとした仕草で。
あたたかさで自分とそれ以外の境目が分からなくなっている。自分の体は全部紛れもないわたしで。今コートにくっついている、先が茶色くて、それ以外は黒い髪。これもまあちょっと曖昧なところにいると思うけど自分だと思う。
誰かの力を借りて自分という存在を確立させたくない。と、思うだけは思っとく。そんなこと絶対にできないってわかる。今がそうだから。
ちょっと今気持ちが、一箇所にいなくて散らばっている。目まぐるしい。
指の間からポロポロこぼれ落ちていくのが見えるような音楽をきいていたい。
意味を含まない言葉とメロディがポロポロ落ちている。
誰かとずうっとたのしく一緒にいたいという気持ちと同じくらいのところで、突然全てを投げ飛ばして誰にも見えないスピードで生きていたいと思ったりもしてみたりする。